アロマのはなし 第五回〖RITUALの香り〗
セラピストとして、いつも幸せだなーと感じるのは「お客様と共有できる」こと。
触れた体や肌から伝わるものだったり、呼吸がシンクロすることも、ときには感情のようなエネルギーが流れ込んでくる感覚も。スパで過ごす時間が生みだすものすべてが愛おしく感じて、その時間を共有できることがとても幸せ。
スパで過ごす時間は、単なる癒しのひとときではなく、五感からもたらされるインスピレーションによって心と身体を満たし、解放させ、本来の「愛すべき自分」に戻れる場所だと思っています。
そして、この「愛すべき自分」に戻れる時間のほんの一部でも、スパという限られた場所以外にもっとお客様の身近にあればいいのに!
そんなことをずっと願っていました。
―日常のスキンケアの時間を、特別な“儀式”に。
睡眠と若返りの為の新しいコレクション「RITUAL(リチュアル)」は、LAPIDEMが創設以来掲げてきたテーマ“心と身体と肌の健康”と、今の時代だからこその“平穏への祈り”が紡ぎ合い生まれました。
「RITUAL」が提案するスキンケアの“儀式”はまさにスパの体験そのもの。
これまでの単なるスキンケアとしての役割だけではなく、触覚、呼吸、感情にアプローチして、スキンケアを通したウェルネス体験をもたらしてくれるものです。
人が生きる上で欠かせない「睡眠」と、その上質な睡眠によってもたらされる心と肌と身体の回復と若返り。
それを実現するための重要な役割を「香り」が担っています。
今回は、その香りについて紹介していきます!
【RITUALの香り】
「RITUAL」の成分は、若々しい肌を作るための有効成分、精進料理の戒律に基づいた素材、そして上質な睡眠をもたらすための香り、の3つの柱で構成されています。
私たちの持つ五感の中で最も古く、「原始的な感覚」とされる嗅覚。
嗅覚でキャッチされた香りの情報は、私たちの五感の中で他の4つの感覚と違う経路をたどって、脳の感情と関わる部分に直接伝わるので、香りは感情に大きく影響します。
この香りの持つ力を利用して、睡眠の質を高めることがエビデンスで裏付けされている香りのみが「RITUAL」には配合されています。
ラベンダー、ジャスミン、ネロリ、マジョラム、クラリセージなどのブレンド。
それぞれの精油について詳しく紹介していきます!
【真正ラベンダー】
「アロマセラピー」という言葉が生まれるきっかけになったラベンダー精油は、数百種類というとても多くの香り成分から成りたっていて、殺菌・消毒作用、抗炎症作用、細胞再生作用など皮膚へ対しての効果も多岐に及びます。
まだアロマセラピストに成りたてだったころは「困ったらラベンダー!」と、とてもお世話になった精油のひとつです。
主成分の“リナロール”と“酢酸リナリル”には自律神経を調整しリラックスする作用があり、特に酢酸リナリルは、睡眠に深く関わるホルモン「セロトニン」の分泌を促し、睡眠の質を高める効果があります。
Lavandura(ラベンダー)の語源はラテン語の“Lavare-洗う”という言葉から。古代ギリシャやローマでは入浴剤や洗濯に使われていた香りです。
精油の中でも最多種類の香り成分を持つラベンダーは、とてもバランスのとれた精油で、例えば苦手が一切なく全教科で高得点をたたきだしてくる感じです。さらに協調性も高い。
占星学では6番目の星に属していて、完成を促す力があるといわれていますが、香りのブレンドでなにか物足りないときにラベンダーを足すことで纏まりが生まれることも多いです。
【ジャスミン】
夜に花を咲かせ、甘く優美な香りで魅了するジャスミン。
私が毎日身に着けている香りのブレンドにも使っています。
その独特な香りの元でもある“cisジャスモン”は、GABA受容体の働きを強め睡眠を促します。また、リラックス効果の高いエステル類を多く含んでいて、呼吸器系を穏やかに鎮静して呼吸を深めてくれます。
気分を落ち着かせる“安息香酸ベンジル”と高揚させる“酢酸ベンジル”がバランス良く含まれているのも特徴で、心の不安を取り除いて睡眠からの目覚めをすっきりさせます。
ヒンドゥー教の愛の女神の弓矢にジャスミンの香りが塗られていたことや、歴史的に、愛情深い月の女神たちとのかかわりが強いジャスミン。
古代エジプトの母神で豊穣と魔法と癒しの女神イシスを象徴しているのが、ナイル川の岸辺に育つジャスミンなのでは?という説もあります。
Jasmine(ジャスミン)は、ペルシャ語の“Yasamin”が語源で、「神からの贈り物」という意味。
この香りがもたらす多幸感は唯一無二です!
【ネロリ】
日本名では橙(だいだい)。ビターオレンジの花から採れる精油で、世界初の香水「ケルンの水」のベースにもなった香りです。
ラベンダーと同様に“酢酸リナリル”“リナロール”を含んでいて自律神経の調整に役立ちます。
ネロリ特有の香り成分の“ネロリドール”は、神経系の鎮静作用や、肌の細胞賦活作用に優れているほか、副腎皮質ホルモンにも影響しストレスを和らげ安眠作用をもたらします。
通常、一種類の植物からは一種類の精油しか採れないのですが、ビターオレンジは花からはネロリ、枝と葉からはプチグレン、そして果皮からはビターオレンジと3種類の精油が採れる希少な植物です。
アロマセラピストのころ、この3種類の精油だけでトリートメントをしたこともありました。
頑張りすぎて、ストレスで身動きが取れなくなって追いつめられているようなお客様で、心の解放とグラウディングの両方ができるネロリの香りが効果的でした。
バラバラになった心と身体を繋いでくれる香りです。
【マジョラム】
「長寿」を意味する名前のシソ科のマジョラムから抽出される精油です。
“リモネン”などモノテルペン類の香り成分を多く持っていて、睡眠に必要なα波を増加するほか、ストレスや不安を解消しリラックスさせます。
副交感神経を高めて催眠作用があることから、アロマセラピーでは車の運転前の使用が避けられています。
安眠の香りといえばラベンダーを思い浮かべる人も多いと思いますが、私はこのマジョラムの香りを真っ先に思い出します。
というのも、昔、体調を崩した時期にまったく眠れなくなったことがあり、何を試しても眠れない。もちろんラベンダーも駄目。当時は知り合いもいない場所に引っ越したばかりで頼れる人もいないし、日に日に体重は落ちていくし、藁にもすがる思いでディフューザーに垂らしたのがマジョラムでした。
そうしたら眠れたんです。しかも爆睡!!!
マジョラムの学名“Origanam”の意味は「山の喜び」。
母なる大地の温かさの宿った香りが、失った体力と精神を癒し、孤独や不安から救ってくれたのかもしれません。
【クラリセージ】
クラリセージの精油が採れるオニサルビアは、イギリスではビールの原料になるホップの代用品として使われていたハーブです。
ホップも安眠作用があることが知られているハーブですね。
エステル類を多く含み、神経系に対して優れた安定作用があります。
ラベンダーやネロリと同様に“酢酸リナリル”“リナロール”を含んでいて自律神経を調整するほか、森林浴の香りで安眠効果も期待される“αピネン”も含有しています。
クラリセージは、ハート形の大きな葉を地面近くで付ける一方で、花は高く空に突き抜けるように咲きます。この姿から、両極端なものに折り合いをつけてうまくバランスをとる効果があるとされています。
また、学名の“Salvia”はラテン語で「救う、治療する」、“sclarea”は「明晰な」という意味。
幻想や感情の混乱を取りのぞき、インスピレーションを高めてくれます。
私の感覚の中ではラベンダーとクラリセージはとても似ていて、とても純粋で中性的で、色に例えるなら透明~薄い青色といったところ。
感情を整理して、個々の色を鮮明にわかりやすくしてくれるような、中性的でも存在感のある香りです!
睡眠の質を高める効果が研究で明らかになっている香りは「RITUAL」の香り以外にもまだまだあります。
「RITUAL」に選ばれた香りは「愛情」と「幸せ」、そして「平穏」を感じられる香り。
自分をいたわり、自らを清め、平穏をもたらす毎日のスキンケアの“儀式”は、スパで過ごす時間と同じように、きっと幸せな感情を呼び覚ましてくれることと信じています。
「RITUAL」の香りで「愛すべき自分」に出会えますように!
・参考
大槻真一郎・尾崎由紀子/著
「ハーブ学名語源事典」
投稿者プロフィール
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Lapidem Tokyo Spa セラピスト&インストラクター
愛知県出身。ヴィセラジャパン、パンピューリジャパンなどを経て、2020年にセラピストとしてラピデムにジョイン。21年5月からはインストラクター業務に携わり、商品開発、トレーニングなど幅広い領域に従事。ライフワークはベリーダンス。
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