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香り

浄化 × 香り

人類は火を手に入れたことにより、香りと出逢ったと考えられています。

100万年以上も遡った遥かなる太古、大自然から火を得た人類の先祖たちは、貴重な火の持続のため、草木を集めて燃やし続けました。 あるとき突然、炎の中から煙と共に立ち上る芳香。

その香りは神経を研ぎ澄まし、魂をゆさぶり、時として鎮静とやすらぎを、時としては陶酔とときめきをもたらしました。

香(香料、香水、芳香)を示す英語「Perfume」が「Per(throught)+fume(煙)」、すなわち「煙を通して」という意味であることから、人が良い香りに接した最初の方法は芳香物質に偶然火を点けることであったと想像できます。

時代を超えて「香り」の使い方は変化してきましたが、そこには常に「浄化」の目的がありました。

今回は、「香り」と「浄化」をたどる歴史の旅へお連れします。


【宗教的浄化と科学的浄化】

アメリカ先住民の間で始まり何世紀も前から現在まで続いている儀式のひとつに、乾燥させたセージの束を燃やす“スマッジング”と呼ばれるものがあります。セージの束を燻し、浄化したい人や場所の周りで動かすことでネガティブなエネルギーを浄化することができるのです。

現在、セージの煙が実際に空気中の細菌を減らすことが科学的にも証明されています。植物研究家のチャンドラ・シェカール・ノーティヤル博士はセージなどの薬草を燃やすことで、空気中にあるブドウ球菌などの細菌が減少することを発見しました。その効果は煙が消えた後もしばらく続きます。

その他にも木の精油には、ダニ、カビ、細菌類の増殖を抑える効果があります。

ヒバやヒノキの精油成分であるヒノキチオール、αカジノール、T-ムロロールはカビ類、ブドウ球菌、大腸菌といった細菌類の増殖を抑制する力があり、トドマツ精油に含まれるβ-フェランドレンには、空気中の有害物質である二酸化窒素を無害化する作用があり、空間を浄化してくれます。消臭効果にも優れ、免疫力低下も防ぎます。

また、ヒノキやトドマツ精油による身体的な効果では脳の活動と自律神経活動の鎮静、血圧低下、脈拍の安定化、睡眠の質向上といった効果もみられます。

【日本においての香りの歴史】

日本における香りの歴史は古く、仏教が伝来した飛鳥時代が始まりと言われています。
飛鳥時代の偉人である聖徳太子。
聖徳太子は仏教を深く信仰していたと言われており、国づくりにも仏教の思想を生かしていました。

日本書記によると仏教では香を焚いて身を清める儀礼が行われます。今でも葬儀で焼香したり仏壇に線香をあげられていますが、かつては仏教行事にあわせて沈香を焚いていたと記されています。

寺院での厳かな儀式の際に使われていた他、時代の流れによって心身を清め精神を研ぎ澄まし神仏との交流をもたらすものとされていました。

室町時代に入ると、北宋の詩人が記した「香十徳」を一休さんでおなじみ一休宗純が日本に広めました。「香十徳」によるとお香には10個の効用があると言われています。

「香十徳」

感格鬼神:感覚が鬼神のように研ぎ澄まされて集中できる
清浄心身:心身を清浄にする
能除汚穢:穢れを取り除く
能覚睡眠:眠気を覚ましてくれる(よく眠れるという説もある)
静中成友:孤独な時に心を癒やしてくれる
塵裡偸閑:くつろぎを与える
多而不厭:多くあっても邪魔にならない
寡而為足:少量でも香り放つ
久蔵不朽:長期保存が可能
常用無障:害がないので常用可能

この詩文から香りには心理的効果、生理的効果、薬理的効果、科学的効果、環境保全効果があることが分かります。

現在のように科学的に証明されていなくとも心と身体で感じ取っていたんですね。

嗅覚は五感の中で唯一脳に直接伝わる感覚です。そのため記憶に一番長く残る感覚も嗅覚であると言われています。

ラピデムのプログラムにも芳香浴を取り入れており、お香やパロサント、アロマオイルなどをメニューによって使い分けています。トリートメント後には心と体が浄化されている感覚を感じていただけたらと思います。

そしてラピデムでのひとときが幸せな記憶のひとつとなりますように。

参考文献
https://ethical-story.jp/2021/03/21/kaori
https://www.kohgen.com/column/koh/jittoku/?srsltid=AfmBOor_EWvcDaqiwWjMzJWeWx08fHFqYueGvF3OCWN3D0YddsN35EsD