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インド占星術

【インド占星術から知る、ウェルネスに生きるためのヒント】第5回|「整える」は、足すことじゃなくて、引くことかもしれない

こんにちは、はら匠(はらしょー)です。

前回は、人生には「進む時期」と「チャージする時期」があり、チャージする時期は「頑張れない自分を責めることにエネルギーを使わない」ことの大切さをお伝えしました。

実は、正しい「エネルギーの使い方」は、自分を整えるための鍵にもなります。では、エネルギーを無駄遣いしないためには、どうしたらいいのでしょうか。

今回は、「引き算」をテーマに「整えること」についてお話していきます。


あなたは自分のエネルギーを、どこに使っていますか?

ずいぶん昔の話ですが、私は過去に、ある人についての愚痴ばかり言っていた時期がありました。口を開けば、いつもその話題。ある時、友達に「その話、もう5回くらい聞いたよ」と言われてハッとし、そこで愚痴を言うのをやめました。


あの頃の自分を振り返ると、自分は何をしたいのか、どうしたいのかなど、自分の人生について意識を向けられないほど、すべてのエネルギーを”愚痴”に使っていました。

生きていれば、悲しいことも、悔しいことも、残念なことも、たくさん起こります。
嫌なことがあったら、愚痴を言ってもいいし、怒ることも、悲しむことも、悔しがることも、悪いことではありません。
むしろ「嫌」という感情を無理に消す必要はないし、怒りの感情を原動力に、戦うことが必要なときだってあると思います。

ただ、怒りに身を任せ続けていると、自分を見失い、怒りの炎で焼け焦げてしまう可能性もあるので注意が必要です。


嫌な出来事に費やしているエネルギーは、その出来事から何かを学んだり、「自分はどうしたい?」と、心の声に耳を傾けたり、自分を整えるためのエネルギーとして使うこともできます。

また、私たちのエネルギーは無限ではありません。
だからこそ、「自分は今、どこにエネルギーを使っているのか」に気付くことはとても重要です。

最適なエネルギーの使い方は、時期や状況によって変動するものです。
けれど、できるだけエネルギーの浪費は防ぎたいですよね。

日々の中で、自分の大切なエネルギーを、自分はどこに向けているのか。
ちょっと観察してみていただきたいです。

「転職」も「天職」も、万人に合うとは限らない

キャリアコンサルタントとしてだけではなく、インド占星術師としても、「転職」や「天職」に関するご相談を受けることがあります。また、「周りの人と価値観が合わない」「自分だけ違う気がする」というお悩みを伺うことも少なくありません。


インド占星術では、今世、また、特定の時期に、その人はどのようなテーマに意識が向きやすいのか、そして、どんな方向性にエネルギーを使いやすいのかを見ていくことができます。

この「テーマ」は、たとえば仕事、自分自身、人との関わりなど、さまざまな領域に分けて見ていきます。 

そして、ご本人が好きと思っているかは別として、仕事に意識が向きやすい人もいれば、自分自身に意識が向きやすい人や人間関係に意識が向きやすい人もいます。

職場のなかでも、たとえば、修行のように自分自身を高めていきたい人、チームにこだわりたい人、とにかくお金を稼いでいきたい人など、様々な方がいます。

つまり、そもそも意識の方向性が違うので、価値観が合わないと感じることは、全く不思議なことではありません。
ただ、お互いのテーマが違うだけ。

だからこそ、無理に相手に合わせる必要も、相手に強要する必要もないのです。


同じように、「何を大切にしたいのか」「どこにエネルギーを使いたいのか」も人によって違います。
そのため、転職することも、天職を探すことも、頑張り続けることも、人によって正解は異なりますし、同じ人でも時期によって変わってきます。

ここで少しお伝えしたいのが「天職」についてです。
「天職」と聞くと、どこかに自分ぴったりの仕事が一つだけ存在していて、それを見つければ人生がうまくいくようなイメージを持たれている方もいるかもしれません。

でも私は、必ずしもそうではないと思っています。

「何の仕事をするか」だけではなく「その仕事に自分のエネルギーをどう使うか」、そして、「今の自分にとって、本当にその方向でいいのか」を考えること。それらを通して、自分の心と身体が「自分のままでいられる」働き方を見つけることも大切だと思っています。

誰かにとって転職が正解だったとしても、今の自分にとって転職が正解とは限りません。逆に、みんなが頑張り続けているからといって、「自分も無理して続ける」必要もありません。

人の物差しを借りて、自分の人生を測らなくていいのです。

人生には「合わないものに、無理に合わせようとしない」という「引き算」も必要だと思います。

「もっと頑張る」ではなく、「そもそも必要?」

そしてここからが、今回一番お伝えしたいことです。

私たちは、「整える」と聞くと、何かを「足す」ことを思い浮かべがちです。
また、何かがうまくいかないときは、つい「もっと頑張らなきゃ」と考えます。

仕事が思うように進まなければ、もっと努力する。
人間関係がうまくいかなければ、自分のコミュニケーションを変える。
疲れを感じていたら、疲れない自分になる。

でも、もっと頑張ろうとする前に、一度自分に問いかけてみてはいかがでしょうか。

「そもそもこれは、今の自分に必要?」

私は、過去の経験から、「なにが大事なのか?」「本当にやるべきことは何か?」を一度考えてから動けるようになりたいと思っています。

たとえば、昔は必要だった人間関係が、今は自分を疲れさせているかもしれない。
以前は役に立っていた習慣が、今は負担になっているかもしれない。
「こうしなければ」という思い込みが、いつの間にか自分を縛っているかもしれない。

「ここまでやったのだから、続けなきゃ」
「せっかく身につけたから、使わなきゃ」

こんな風に、頑張ってきたことだからこそ、簡単に手放せないものもあると思います。

けれど、「今まで必要だった」ことと「これからも必要」なことは、同じとは限りません。


人生のステージが変われば、必要なものも変わっていきます。

一般的に、人間の肌は約28日で生まれ変わると言われています。体全体で考えると、早ければ数日で入れ替わる細胞もあります。もちろん、すべての細胞が同じ速さで入れ替わるわけではありませんが、少なくとも、数日前の身体と今の身体は、まったく同じではないのです。

だとすれば、自分の考え方や価値観が変わっていくのも、自然なことのように感じませんか。

持ち物だけではなく、ときどき、考え方や習慣、人との距離感も、「今の自分に必要か」見直してみる。
何かを足す前に、まず「これは、もういらないかも」と思うものを一つ引いてみる。

それだけでも、エネルギーの使い方は変わってきます。「何にエネルギーを使わないか」を考えることで、今の自分に大切なもの、必要なものも見えてくると思います。

惑星の世界にも「引く」ような働きがある

最後に、インド占星術における惑星※の話にも触れたいと思います。

インド占星術では、月、太陽、火星、水星、木星、金星、土星という実在する惑星と、ラーフ、ケートゥという架空の惑星それぞれに、象意(象徴的な意味やイメージ)があります。

その中で「引く」というテーマを考えたとき、私は2つの惑星を思い浮かべます。
「土星」と「ケートゥ」です。

土星は、物事の遅延や制限、試練などを象徴します。そして、そして土星の強さが発揮されると

・頑張っているのに、なかなか進まない
・思ったように結果が出ない
・予定通りに物事が進まない

など、一般的にこのようなもどかしい状況になりやすい傾向があります。

そして、私たちは、つい「もっと頑張らなきゃ」とアクセルを踏み込みたくなりますが、前回の「でこぼこ道」の話を思い出してみてください。「でこぼこ道」では、まず速度を落として「そもそも、この道でいいのかな?」と確認する必要がありましたよね。

そんな風に、土星の時期は、これまでの進み方を見直し、軌道修正する時間として捉えることもできます。

また、このような特徴から、土星は、「バイラッギャ(離欲)」という、「必要だと思っていたものが、実は必要ではなかったという気付き」をもたらすとも考えられています。

一方で、ケートゥには、外側にあるものを求めるよりも、余計なものをそぎ落として、内側へ向かっていくような働きがあります。シンプルな暮らしや、ひとつのことを深く研究すること、自分の世界に集中することなどがその一例です。そのため、ケートゥの場合は、「引く」よりも「手放す」というイメージが近いかもしれません。


ここで私がお伝えしたいのは、一見すると「何かを失った」ように感じる出来事も、実は、自分にとって本当に必要なものを見直すきっかけになることがある、ということです。

樹木は、冬になると葉を落とします。
葉を落とす姿だけを見ると、何かを失っているようにも見えてしまいますが、落葉する時間があるからこそ、また次の春に新しい葉をつけることができるのです。

人間も、ずっと何かを抱え続けていなくていいのかもしれません。

土星やケートゥは、そのような大切なことに気付かせてくれる惑星だと思っています。

※ 本来は、月は衛星、太陽は恒星ですが、インド占星術では、月や太陽、ラーフ、ケートゥもすべて「惑星」という考え方になっています

おわりに

「自分を整える」と聞くと、もっと良い自分になろうとすることを想像するかもしれません。
もっと健康になる。もっと勉強する。もっと成長する。もっと頑張る。

もちろん、それも素敵なことですが、必ずしも「足す」必要はありません。


合わないものに無理に合わせない。必要がなくなったものを手放す。「〜しなきゃ」を一つ減らす。誰かに使い続けていたエネルギーを、自分のほうへ戻してあげる。

そうやって、余計なものを少しずつ引いていく。
すると、少しずつ、「今の自分が大切にしたいこと」が見えてきます。

整えるための引き算。
ぜひ、「足す」前に「引く」ことを試してみてください。

次回はいよいよ、この連載の最終回。

前回の「チャージする時期」のお話に続き、今回は、エネルギーの使い方、「整えるための引き算」についてお伝えしてきました。
では、「引く」ことによって生まれたゆとりは、どのように使うと良いのでしょうか。

最終回は、「休む」ということについて、インド占星術の視点からお伝えしたいと思います。

更新は9月25日(金)頃を予定しています。
また次回、お会いしましょう。