【インド占星術から知る、ウェルネスに生きるためのヒント】第3回|月と、こころと、わたし
こんにちは、はら匠(はらしょー)です。
以前、Xでこんなことをつぶやいたことがあります。
“ 恵まれた才能や運の良さを持っていても、物事を穿った見方しかできなかったり、過去に執着して前に進めない人を見ると、「もったいないな」と感じる。”
鑑定をしていると、心からそう感じる瞬間があります。
ホロスコープを見ても、実際のお話を聞いていても、「恵まれているな」と感じる方なのに、幸せそうに見える人と、そうでない人がいる。その違いは何なのか、ずっと気になっていました。
今回は、その違いを考えるうえで欠かせない存在である、「月」についてお話していきます。
月は「心」を表す天体
インド占星術では、月のことを「チャンドラ」と呼び、「マナス(心・感情)」を表す天体と考えます。
・生まれた瞬間、月はどの星座にあったか
・どの惑星のそばにいて、どのような影響(アスペクト)を受けているか
これら2つの側面を併せて見ることで、その人が何に心を動かされやすく、何を心地よいと感じ、何を苦手と感じやすいのか、といった、心の傾向を読み取ることができると言われています。
前回の記事で、ホロスコープという取扱説明書を通して、自分の設計図に気づいたお話をしましたが、取扱説明書って分厚いですよね。実は、取扱説明書に書かれている内容は、毎日すべて同じように表れるわけではありません。
そのため、わたしは月を「今日開かれている取扱説明書のページを映す鏡」 のような存在だとイメージしています。昨日の自分は21〜23ページだったけれど、今日の自分は7ページ…というように、月は「今日の自分の傾向」をそっと教えてくれる存在。
そう考えると、月という天体がぐっと身近に感じられる気がしませんか。
なぜ、月は影響を受けやすいのか
インド占星術の鑑定において、この2つの側面から月を見ていくことには理由があります。
なぜなら月は「心・感情」を表す、良くも悪くも周りの影響を受けやすい天体だから。
これは、人間関係に置き換えると、少しイメージしやすいかもしれません。
楽しそうにしている人の近くにいると、自分まで楽しい気持ちになってくる。
反対に、イライラしている人のそばにいると、理由は分からないのに気持ちがざわつく。そんな経験はないでしょうか?
月は、まさにそうした、周りの影響を受けやすい「心」の性質を象徴しています。
心は、とても柔らかいものです。
周りの環境だけではなく、これまで積み重ねてきた経験からも強い影響を受けます。
作家の五木寛之さんも、著書『人生の目的』の中で、「幼い頃の柔らかい魂に…」という表現を使われていました。その表現を目にしたとき私は、「月が表す心」の話と少し重なるものを感じました。
実際、大人が思っている以上に、子どもは周りの影響を受けやすいです。鑑定を通して幼少期のお話を伺っていると、家庭や学校で何気なくかけられた言葉が、大人になってからも心に残り続けているケースが少なくありません。過去の経験は、ポジティブにもネガティブにも、現在進行形で影響を与え続けているのです。
もし今、つらい時期だと感じている方は、「自分の心が弱いからだ」 と自分を責める前に、今、自分の「心」が置かれている環境や周囲からの影響、これまでの経験などについて、一歩引いて眺めてみることを試していただけたらと思います。
月は、満ちて、欠ける
もうひとつ、月の大事な特徴をお伝えします。
月は毎日、姿を変えます。 新月から満月へ、満月からまた新月へ。 約1か月かけて、満ちて、欠けて、また満ちていきます。
インド占星術の世界では、この満ち欠けのサイクルを、暮らしの指針にする考え方があります。
・新月から満月(満ちていく期間):新しいことを始めるのに向いている時期。エネルギーを外へ、前へ向ける時期
・満月から新月(欠けていく期間):整理整頓の時期。「自分の中に残る大事なものはなにか」を見極める時期
たとえば、インドには「エーカーダシー」という日があります。
この日は、新月と満月からそれぞれ11日目にあたり、食事を簡素にし、お祈りや学びなど、意識を内側へ向ける時間を大切にする習慣があります。私自身はまだ実践できていませんが、いつか続けてみたい習慣の一つです。
「新しいことを始めたのに続かなかった」という経験がある方は、もしかすると、意志の弱さではなく、「欠けていく期間」に種をまいていただけかもしれません。
「もったいない」と感じてしまう正体
冒頭の話に戻ります。
恵まれた運を持っていても、それを素直に受け取れない人がいます。
なぜでしょうか。
インド占星術では、それぞれの惑星が人生のさまざまなテーマを象徴し、その時々で私たちに影響を与えていると考えます。そして、月は心を表す天体。
つまり、「人生をどう受け取るか」に深く関わる天体なのです。
そのため、周りの惑星から良い影響を受けている時期だったとしても、月(心・感情)の状態によっては、その恩恵を十分に受け取れないことがあると考えられています。
私はこれを「受信機」にたとえることがあります。
周りの惑星が「今は追い風だよ」「こんなチャンスがあるよ」と電波を送っていて、実際に本人にとって恵まれた環境や幸せな出来事の中にいたとしても、受信機である心が曇っていたりすると、うまく受け取ることができません。その結果、実際には好機の状況にあっても素直に喜べなかったり、その幸せに気づけなかったりすることがあるのです。
これは、とてももったいないことです。
また、鑑定を続ける中で、気づいたことがあります。
人生の満足感は「実際に幸せな出来事が起きているかどうか」だけではなく、 その出来事を「自分がどう受け止めているのか」にも大きく左右されるのではないか、と。
受信機は、できるだけピカピカに磨いておけるといいですね。
心は「自分そのもの」ではない
最後に少し、踏み込んだ話をします。
インドの古くからの知恵の中には、「マナス(心・感情)は、自分そのものではない」という考え方があります。わたしはまだ勉強中なので、専門の先生のような深い解説はできませんが、実感としてとても納得している視点です。
この考え方は、感情を「手放す・なくす」といった話ではありません。
ひとは、嫌なことをされたら腹が立ちますし、悲しい出来事があれば落ち込みます。それは当然の反応です。
この教えの大事なポイントは、その感情を否定したり、「自分の本質だから」と決めつけてしまわないこと。そして、気づきだけで終わらせないことだと思っています。
つまり、「いま自分は悲しいのだな」と、自分の感情に気付いたら、そこで終わらせずに、「じゃあ、今週は仕事のペースをちょっとゆるめよう」、「前から行きたかったところに行ってみようかな」と、そんなふうに、自分を労わる行動につなげる。
感情そのものと戦うのではなく、「自分の感情に気付き、どうしたいかを自分に問いかけてみる」ことが大切なのだと思います。
完璧な人は、この世にいません。
完璧でないからこそ、様々な出来事を通して人生が色付いていくと思いませんか?
月は今日、どのページを映しているのか。
曇っている日があってもいいのです。
まずは、曇っていることに気付くこと。
そして、そこからどう自分を労わるかを選ぶことができるのは、どんなときも、自分だけだということ。これを覚えていて欲しいと思います。
おわりに
月は、生まれ持った心の設計図でもあり、「今日は取扱説明書のどのページが開かれているのか」を映す鏡でもあります。月を知ることは、自分を決めつけるためではなく、「今日はこういう日」だと、自分を理解するためのヒントになります。
次回は、月の「満ちる・欠ける」というリズムについて、もう少し大きなスケールに広げていきます。人生そのものにも、「エネルギーが満ちる時期」と「チャージしたい時期」がある、というお話をしていきます。
「がんばれない時期」に心当たりのある方に、ぜひ読んでほしいなと思います。
来週、8月28日(金)20時に公開を予定しております。
どうぞお楽しみに。
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