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ラピデム寺島のセラピストエッセイ
日本発ウェルネススキンケアブランド ラピデムがお送りするウェルネスジャーニーマガジンラピホリです。

アロマのはなし 第四回〖香りの成分〗

こんにちは、ラピデムのインストラクター兼セラピストの寺島雪江です。

25年のセラピスト人生で、スパ業界で得たこと、学んだことなど、日本のスパ文化をずっと見てきた私が感じたことや、思うことなどを書いていこうと思っています。

そもそも、香りってなに?アロマセラピーって何なの??

香りを語るうえで避けては通れない「香りの成分」が今回のテーマです。

私たちが日常的に嗅いでいる「香り」は様々な香りの分子の組み合わせでできています。

香りの成分は食品も合わせると約40万種類!!それがいろんなパターンで組み合わさって香りを作っているので、世の中には本当に数えきれないほどの香りや匂いで溢れているのです。

ちなみに、私たちの嗅覚は約1兆個の匂いを嗅ぎ分けられるといわれています。

その香りの成分が揮発(気化)することによって私たちは香りを感じています。

アロマセラピーで使われる精油はとても揮発性が高く、香りをより感じやすく、香りの成分の数は1つの植物で数百種類にも及ぶことがあります。

植物の根、葉、茎、花、果実、種子、樹皮や樹脂から、水蒸気蒸留法と圧搾法などの方法で香りの成分のみを抽出したものが精油=エッセンシャルオイルで、この精油を使った芳香療法こそが”アロマセラピー“です。

【アロマセラピーのしくみ】

アロマセラピーでは、精油を皮膚、または嗅覚を介して吸入する主に2つの方法で体内に吸収させていきます。

精油の分子はとても小さいため、皮膚を通過し血流にのって体全体に循環することができます。ただ、原液のままでは純度が高く強力で皮膚刺激もあるため、必ず植物オイルなどで薄めて使用する必要があります。

鼻から嗅球に吸収された香りの分子は、脳の大脳辺縁系に送られます。

このことは〖香りの魅力〗でくわしくお話していますが、大脳辺縁系は神経やホルモンの分泌に影響を与える脳の一部で記憶や感情などに繋がっています。

そして、香りの分子が鼻を通して吸収されると同時に、呼吸によって肺に送られ、最終的に血流に渡ります。

それぞれの方法や楽しみ方については、また別の機会でご紹介したいと思います!

精油に含まれる様々な香りの成分は、それぞれに独特の香りと特定の治癒特性を持っています。脳、あるいは体内で作用して、その効果を発揮していくのがアロマセラピーの仕組みです。

【香りの成分】

歯磨き粉のパッケージでよく見る「メントール」。

薄荷の代表的な香り成分で、抗炎症、鎮痛、抗菌効果と、なんといっても清涼感のある香りが特徴です。

薄荷の精油にはメントールの他に、柑橘系の香りに多く含まれる「リモネン」や森林浴の香りで知られる「αピネン」「βピネン」など、約100種類以上の香り成分でできています。

香りの成分を大きく分類すると9種類。

・炭化水素類(モノテルペン類・セスキテルペン類)

・エステル類

・アルコール類

・フェノール類

・アルデヒド類

・ケトン類

・ラクトン・クマリン類

・フェノールエーテル類

・オキサイド類

それぞれの作用について詳しく見ていきましょう!

《炭化水素類》

炭素原子と水素原子のみで構成された香りの分子で、精油において基本構造となるものです。

モノテルペン類は柑橘系の香りに多く含まれていて、分子が小さく揮発性が高いのが特徴です。

セスキテルペン類はモノテルペン類よりも炭素連鎖が長く、粘度もあり香りも濃厚で長く続きます。カモミールジャーマン、イモーテル、イランイラン、シダーウッド、ミルラなどに多く含まれています。

名前の最後に「~エン」とつくものが多いです。

モノテルペン類の効能

神経系への刺激作用/胆汁、肝臓、胆のうの分泌作用/胆石溶解作用/抗ウイルス作用/殺菌作用/充血除去作用/去痰作用/空気の消毒作用

セスキテルペン類の効能

鎮静作用/抗痙攣、抗こむらがえり作用/収斂作用/殺菌作用/抗真菌作用/抗炎症作用/消毒作用/バランス作用/弱い血圧降下作用

《エステル類》

エステル類は酸とアルコール類が反応してできていて、名前は「~酸~イル」となります。

ラベンダー精油に含まれる酢酸リナリルは、酢酸とリナロールという2つの物質が結合してできたものです。

他にもカモミールローマン、クラリセージ、プチグレン、ベルガモットなどに多く含まれています。

エステル類の効能

エステル類の効能

神経系へのヒーリング、快活作用/高揚作用/抗痙攣作用/鎮静作用/抗炎症作用/抗真菌作用/皮膚の細胞再生作用/瘢痕組織、創傷治癒作用

《アルコール類》

炭化水素にヒドロキシ基(水酸基-OH)が結合したもの。名前の最後に「~オール」と付きます。

精油の中で最も有効性のある分子のいくつかはアルコール類で、ローズ、ネロリ、サンダルウッド、ゼラニウムなどに多く含まれています。

私が愛して止まないローズウッドの精油の香りは、約90%がアルコール類でできています。

アルコール類の効能

アルコール類の効能

神経系への刺激、強壮作用/高揚作用/加温作用/内分泌系刺激作用/ホルモン様作用/抗ウイルス作用/殺菌作用/抗真菌、消毒作用/充血除去作用/血圧降下作用/利尿作用/催淫作用

《フェノール類》

ベンゼン環と呼ばれる正六角形の炭素結合にそれぞれ水素と、ヒドロキシ基が結合したもの。アルコール類と同じく「~オール」と最後に付く名前が多いです。

皮膚への刺激があり、長い期間多量に摂取すると肝臓に負担がかかるため注意が必要です。

クローブ、シナモン、セイボリー、タイムなどに多く含まれています。

フェノール類の効能

フェノール類の効能

鎮痛作用/抗痙攣作用/鎮静および高揚作用/ホルモン様作用/内分泌刺激作用/制汗作用/体温上昇作用/血圧上昇作用/抗ウイルス作用/殺菌作用/殺虫作用/抗炎症作用/充血除去作用/免疫賦活作用/創傷治癒作用/去痰作用/駆虫作用/利尿作用/通経作用消

《アルデヒド類》

アルデヒドは酸化したアルコールで、「テルペンアルデヒド」「脂肪族アルデヒド」「芳香族アルデヒド」の3つに分類され揮発性が高く強い芳香が特徴です。「~ア―ル」という名前が付けられています。濃度が高いと皮膚や粘膜に対して刺激性があるので使うときは十分に希釈して。

レモンバーム(メリッサ)、レモングラス、シトロネラ、ユーカリレモンなどに多く含まれています。

アルデヒド類の効能

鎮静作用/解熱作用/血圧降下作用/殺菌作用/抗ウイルス作用/抗炎症作用/抗真菌作用/消毒作用

《ケトン類》

炭化水素にカルボニル基(ケトン基)くっついたものがケトン類で、「~オン」という名前が多いです。ケトン類は神経系への刺激があるため、乳幼児や妊婦、疾病をもつ方への使用には注意が必要です。

カンファ―、ローズマリー、セージ、ヒソップ、スペアミント、ユーカリディベスなどに多く含まれています。

ケトン類の効能

鎮痛作用/鎮静作用/高揚作用/内分泌刺激作用/冷却作用/抗凝血、充血除去作用/抗真菌作用/抗炎症作用/創傷治癒作用/殺虫作用/去痰作用/肝機能賦活作用/脂肪分解作用/通系作用

《ラクトン・クマリン類》

炭素環のついたエステル類の一種です。水蒸気蒸留法で得られた精油には含まれていない成分で、光毒性があり皮膚に塗布してから紫外線にあたるときは注意が必要です。

ベルガモット油に含まれるベルガプテンは有名ですが、最近はベルガプテンフリーの精油もよく見かけます。

ラクトン類・クマリン類の効能

鎮静作用/高揚作用/発汗作用/解熱作用/血圧降下作用/抗凝血、充血除去作用/去痰作用/抗カタル作用/バランス作用

《フェノールエーテル類》

フェノール類のベンゼン環にエーテル結合(ーOー)がついたもので、名前の最後は「~オール」になります。フェノール類と同じように皮膚への刺激と、肝臓に負担がかかるので低濃度で短期間の使用がおすすめです。

アニス、バジル、パセリ、フェンネルなどに多く含まれています。

フェノールエーテル類の効能

鎮痛作用/抗痙攣作用/鎮静および高揚作用/ホルモン様作用/内分泌刺激作用/制汗作用/体温上昇作用/血圧上昇作用/抗ウイルス作用/殺菌作用/殺虫作用/抗炎症作用/充血除去作用/免疫賦活作用/創傷治癒作用/去痰作用/駆虫作用/利尿作用/通経作用消

《オキサイド類》

環状構造の中にエーテル結合を含むものがオキサイド類で、揮発性が高く分解されやすい性質です。多量使用すると皮膚を刺激するため十分な希釈が必要です。

「~オール」「~オキサイド」が名前の最後に付きます。

ユーカリ・グロブルスの70~80%を占める「1.8-シネオール」は、痰や鼻づまりを解消することから花粉症の特効薬として話題にもなっています。

オキサイド類の効能

神経系刺激作用/内分泌刺激作用/抗凝血、充血除去作用/去痰作用/利尿作用

植物は、香りを発することで害虫や天敵などの外敵から身を守っています。

その香りは、同じ植物でも緯度や経度、高山地と海辺など場所が違えば保持している香りの成分にも違いがあります。

奇妙なのが、精油=essential oilはそれを生みだす植物自身が養分として使用することはなく、その植物にとって「非必須」「Non essential」な存在だということ。そして揮発後には何も残らないということ。

私たちにとっては「Essential」な存在。

「香り」は知れば知るほど、謎深く、魅了されることばかりです。

・参考記事

現役教師が教えるやさしい精油の化学

https://aromalifestyle.tokyo/essential-oil-chemistry-vol3/

ローズマリー・キャディー著/川口健夫・川口香世子訳

「エッセンシャルオイルの特性と使い方」

https://ifaroma.org/ja_JP/home/explore_aromatherapy/what-is-aromatherapy/history-aromatherapy

投稿者プロフィール

Yukie Terashima
Yukie Terashima
Lapidem Tokyo Spa セラピスト&インストラクター

愛知県出身。ヴィセラジャパン、パンピューリジャパンなどを経て、2020年にセラピストとしてラピデムにジョイン。21年5月からはインストラクター業務に携わり、商品開発、トレーニングなど幅広い領域に従事。ライフワークはベリーダンス。