1. HOME
  2. 精進料理
  3. 【精進料理とは?】
精進料理
精進料理と精神 日本発スパブランドラピデムがお送りするウェルネスジャーニーマガジンラピホリ

【精進料理とは?】

こんにちは、ラピデムのセラピストの高橋です。

今回お話したいテーマは、今、世界的に注目されている「精進料理」です。

ウェルネス、ヘルスケアを食生活にも取り入れていくことが世の中にもスタンダードとなっています。海外では、「vegetarian dishes」や、「buddhist cuisine」として紹介されています。

単なる野菜料理ではなく、仏教の歴史とともに根付いた精進料理について紹介したいと思います。

【精進料理の名前の由来】

精進料理とは、禅宗系の僧侶が伝えた料理法、もしくはその体系をさすもの。不殺生戒に基づき鳥獣魚介の類を使用せず、禅僧が修行の一環として作る料理として発達したとされています。

「精進」という言葉は、精魂込めて仏道に励むことを指す仏教用語ですが、「精進料理」は、実は仏教の経典には登場していないそうです。

動物性食材や匂いの強い食材を食べないといった僧侶特有の食事を、民衆が仏事にまつわる料理として受け取り、「精進料理」と呼ばれてきたそうです。

仏教がインドから他国に伝来する中で、中国では人里から隔離された山奥に禅寺が作られ、完全な自給自足の中で殺生忌避の戒律に従い植物性食品のみの精進料理が発達しました。限られた農作物によって食事を作る中で

「煮る・炒める・揚げる・煎る・干す」などのさまざまな調理法を駆使して、食べる相手のことを思い、丁寧に食事を整えることそのものが修行の一環とされていました。

日本では中国より仏教が伝来する中で、寺の食事を「精進料理」と呼んでいました。動物性食品を使わず植物性食品のみで作るという形式中心で理解された面があり、厳格な菜食主義を貫いていました。

しかし本来は、食べ手を思いやり、手間をかけて作る「もてなしの心」、食べる側にはその気持ちを受け取り「感謝する心」が必要であるとされています。

鎌倉時代に禅宗の寺院の食事法として確立された精進料理は、殺生を禁ずる戒律を守り、魚介類や肉類を用いず、野菜類、穀類、豆類、海藻類などの植物性食品で構成される食事であること。

本膳や会席料理形式が多く、一汁三菜や二汁五菜などで用いられ、精進出汁を用いた薄味仕立てが基本となります。※宗派によっては、ネギ類の野菜(ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなど)である五葷(五辛)やお酒も利用しないこともあります。

曹洞宗の開祖・道元禅師が作り手の作法としての[☆①典座教訓]の中で唱えた

[☆②三徳☆③六味]が精進料理の基本となっています。

☆①典座教訓とは
禅の修行道場における食を司る典座の職責の重要さが記されとおり、

五法(煮る・焼く・蒸す・揚げる・生)、

五色(白・黄・緑・赤・黒)、

六味(甘い・辛い・酸っぱい・しょっぱい・苦い・淡い)を組み合わせること、

旬の食材を余すことなく使って調理すること、調理をする心構え、調理前から調理後の在り方、食中の作法などが、細かく定められています。

☆②三徳について
軽柔、浄潔、如法。3つの視点から徳を解いています。

⚪︎軽柔(軽く柔らかい、口当たりが良い、食べる人にとって食べやすい硬さや大きさ)


⚪︎浄潔(清らかである、見た目が清潔でさっぱりしている)


⚪︎如法(仏の教えにかなっている、正しい順序・方法に従い丁寧に調理している)

☆③六味について 
甘味、酸味、塩味、苦味、辛味の五味に淡味が加わった六つの味。


・化学的な味としての五つの基本味では甘味,酸味,鹹味(塩味),苦味に加えうま味が数えられますが、陰陽五行説にある五味ではうま味のかわりに辛味。そして六番目の味として数えられるのが淡みです。

・「淡味」は、精進料理に欠かすことのできないだしの味で、昆布や干し椎茸のうま味や風味、使用する素材そのものからの味わいを「淡味」と考えられています。

自然の恵みが私たちの命をつないでもらうことに感謝し、いただく精進料理。

食事とは空腹を満たすものではなく、健康な生命を養う源として考えられています。
精進料理は、質素な栄養というイメージを持たれがちですが、栄養学的にはバランスの良い食事です。植物性のタンパク質やビタミン・ミネラルたっぷりのお野菜、キノコ類、根菜類など、旬な食材の素材そのものの味を堪能できます。
旬の野菜は、旬でない時期に比べ、栄養価が高くなります。

日本の四季とともに美味しく健康的に食べられるというのも精進料理の魅力ですね。

また薄味ということもあり、高血圧予防にもつながり、肉類に多く含まれる飽和脂肪酸を摂取しないことから、動脈硬化も予防できます。

調理にさまざまな工夫をこらし、和食や茶道にも多大な影響を与えた精進料理。

千利休は精進料理に想を得て「中国僧が温めた石を懐に入れて空腹に耐えた」という故事にちなみ、懐石料理を考案したといわれています。 全てのものにはいのちがあり、私たち人間はそれらのいのちの恩恵を授かり今ここに生かせていただいているのだと、精進料理を通して改めて実感させられます。

参考文献

精進料理考 吉村昇洋/著

https://global-standard.org/

投稿者プロフィール

Azusa Takahashi
Azusa Takahashi
Lapidem tokyo spa セラピスト