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精進料理

【精進料理×五味五色】

みなさんは精進料理を食べたことはありますか?

日本に昔からある素材と調味料を使って丁寧に調理された料理は、シンプルでありながら心と体に染み渡る優しいご飯です。

この伝統的な料理が、エコでサステナブルにも繋がる今の時代に必要な料理として世界からも注目されています。

精進料理は、仏の教えとともに中国より伝わりました。

もともとは仏教寺院のお坊さん達が修行の一環として食してきた料理です。

つまりは料理を作ることも食べることも修行の一つということです。

仏教の殺生をしない、という戒律に基づいているため、基本的には動物性のものは使用せず、植物性食材がベースであり、心身に影響があると言われる匂いの強い五葷(ごくん)と呼ばれる食材、ニラ、ニンニク、玉ネギ、ネギ、ラッキョウといった食材は使用しません。

【一物全体という考え方】

この殺生をしないというのは、単に動物を殺さないという意味ではなく、植物であっても生き物をいただいていることには変わりがないため、無駄な犠牲をださず、なるべく食材全体をいただき、ゴミを出さないようにして、その命を使い切るという考え方です。

これを仏教用語で「一物全体」と言い、生きているものは丸ごと全部で完全であり、その状態が最もバランスが取れているという意味があります。

この「一物全体」という考え方は栄養学の視点から見ても、食べ物の全体をいただくことでより多くの栄養素を摂取することができます。例えば、野菜は皮の部分に多くの栄養素が含まれていることが科学的にもわかってきています。

-人参の皮の近くにはβカロテンが多く含まれており、粘膜や皮膚の健康を維持します。

-大根の葉にはビタミンCが豊富に含まれており美肌に導きます。

-ぶどうの皮には多くのポリフェノールが含まれており、抗酸化や老化防止の効果があります。

-お米は玄米のままいただくと米糠の部分の豊富なビタミンやミネラルなどの栄養素をいただくことができます。白米に精製した後にできた米糠を使ってぬか漬けを作ると野菜のビタミンやミネラルを一緒にいただくことができるため一石二鳥となります。

このことからも食物を丸ごといただくことが体にとってもいいことがわかりますね。

精進料理のいただいた命に感謝をして、必要な分だけ、ゴミを出さないように、丁寧に心を込めて調理をしていただく、これは日本に昔から伝わるエコでサステナブルな食事法ですね。

フードロスが問題になっている昨今、私たちも積極的に取り入れたい考え方でもあります。

【五味五法五色】

また精進料理の基本に五味五法五色があります。

中国の陰陽五行思想の影響を受けた考え方で、精進料理に限らず和食全般で認識されている捉え方です。

【五味】

苦味、酸味、甘味、辛味、塩味

5つの基本の味のことで、精進料理はこれに加えて淡味を重視しています。単に薄い味ということではなく、素材本来の持ち味を丁寧な調理から引き出して味わいます。

またしょっぱいものを食べた後は甘いものを食べたくなるように、一回の食事もしくは1日を通して様々な味があることで、変化が生まれてより美味しくいただけます。

【五法】

生、煮る、焼く、揚げる、蒸す

5つの調理法のことで、煮物や揚げ物など調理法も変化をもたらすことで、限られた食材で単調になりがちな精進料理を、工夫次第で味わいや食感を楽しむことができます。

例えば、茄子だと焼いて食べるのも美味しいですが、茄子の煮浸しや揚げ物、浅漬けにしても美味しいですよね。

【五色】

青、黄、赤、白、黒

5つの食べ物の色のことで、仏教においては宇宙観を表す色とされており、これらの色を1つの食事に彩りよく合わせることで季節感を美味しくいただくことができ、幅広く多くの栄養素を取り入れられ、心身の調和がとれていくとされています。

また東洋医学の考えでは五色は五臓とも対応していて、各臓器へ滋養強壮をもたらすとも言われています。

-青(緑)色は、肝臓の機能を高めて血液循環を促進し代謝作用を助けます。疲労回復、免疫力強化の作用もあります。主な食材はほうれん草、枝豆、緑茶など

-赤色は血を補い、心臓の機能を高めて動悸を予防します。虚弱体質や手足の冷えにも効果があります。主な食材は、小豆、トマト、にんじんなど

-黄色は、脾臓の機能を高めて新陳代謝を活発にします。主な食材は大豆、かぼちゃ、とうもろこしなど

-白色は、肺機能の強化のほか、胃腸機能の改善に効果があります。主な食材は米、かぶ、大根など

-黒色は、腎機能を高め排泄作用を強化します。主な食材は昆布などの海藻、黒豆、椎茸など

【まとめ】

精進料理と聞くと難しく特別な料理という感じがしますが、日常で皆さんが行っている料理も、意識を少し変えることで取り入れられそうな感じがしませんか。

食材に感謝をして、季節を感じながら、一つ一つを丁寧に調理して、命を丸ごといただく。そうすることで、心も身体も整って、さらに地球にも優しいという日本の伝統的で素晴らしい食文化である精進料理を皆様も食べてみてはいかがでしょうか。

ラピデムでは精進料理の戒律に基づいた新たなスキンケアライン「RITUAL」を発売します。

精進料理の基本である五葷を使用せず、五色(青:茶葉、赤:小豆、黄:椿油、白:米糠、黒:昆布など)を取り入れ、米糠など一物全体に基づいた持続可能な自然素材を使用しております。

RITUALはお肌だけでなく心と体のバランスも整えてくれる新しいスキンケア製品です。

毎日のなにげないスキンケアの時間を儀式(RITUAL)ととらえ、心と体、肌の平穏を祈り、自分自身と向き合う大事な時間にしてほしい。

精進料理をつくる禅師たちも同じように食材と日々向き合っているのだと思います。

<参考文献>

・Veggy vol.84 精進料理 「心身が優しくなる精進料理」藤井まりさんのインタビューより

・禅と食 「生きる」を整える 舛野俊明

・Mind fullness News 季節の変化に負けない身体作り【陰陽五行】金子昭子

・環境と人 リサイクル会社が作る循環思考メディア 注目される「身土不二」とは?今求められるサステナブルな食生活 https://humanatnature.com/article/column_kizi/1083/